Wake on Lan(WOL)難民の皆様、どうもお世話になります。私もWOLと戦い続けている一人です。WindowsのWOLはOSのアップデートやハードウェアの構成やデバイスのファームウェアによっても、まさにカオスな状況となっています。
WoLが起動しない場合に確認すべき項目として、WoLが失敗する原因特定や、デバイスの対応確認などの方法を一通り経験したのでここに残します。皆さんのWindowsにも魂が吹き込まれますように願いを込めて。
目次
Wake On LAN(WOL)には2つの種類がある
Windowsの状態を表すステートにはS0~S5に分けられます。
ステート | 電源状態 |
---|---|
S0 | 電源オン状態。 |
S0x | モダンスタンバイ対応製品の低消費電力状態。 |
S1 | スリープ状態。CPU停止&CPU電源オン。 |
S2 | スリープ状態。CPU停止&CPU電源オフ。 |
S3 | スタンバイ状態。RAMのみ電源オン。 |
S4 | 休止・ハイブリッド状態。メモリの内容はHDDに保存される |
S5 | 電源オフ状態。 |
Wake on Lan(WOL)の種類も2つに分けられます。
WOL | WOL対応ステート |
---|---|
ソフトウェアWOL | S3・S4ステートからの復帰 |
ハードウェアWOL | S5ステートからの復帰 |
Windows10ではソフトウェアWOLに対応していますが、「S1~S2」「S0x(一部例外あり)」状態だとWOLが使えないという事です。さらに、自分のデバイスがソフトウェアWOLに対応している必要があります。
Windows10からモダンスタンバイが登場して、まるでスマホのように省電力と復帰を切り替えられるようになりました。それがS0xステートです。S0xステートだと、S3ステートから復帰させるWOLでは起動できなかったりするので、注意が必要です。
自分のデバイスが対応しているスタンバイモードやスリープモードは、コマンドプロンプトを管理者で実行して、以下のコマンドで確認できます。
powercfg /a
自分のデバイスがWOLに対応しているか調べる方法
自分のパソコンに搭載されたイーサネットや、無線LANデバイス、外付けUSBネットワークアダプタなどが、ソフトウェアWOLに対応しているかどうか調べてみましょう。
コマンドプロンプトを管理者で実行し、以下のコマンドを実行すると「電源復帰できるデバイス」がリストアップされます。
powercfg.exe /devicequery wake_programmable
これらのデバイスからWOLが可能という事です。内蔵イーサネットなどがきちんと表示されているか確認してみましょう。
WOLに対応したデバイスで電源管理を許可する
自分のデバイスがWOLに対応している事がわかったら、そのデバイスのプロパティから電源管理を許可してあげる必要があります。デフォルトではOFFとなっています。
今回の例では内蔵イーサネットの「intel Ethernet Connection i219-V」の設定を行うので、
からプロパティを開き、「電力の管理」もしくは「詳細設定」タブにて以下の項目にチェックを入れます。同時に「省電力イーサネット」の項目はオフにします。
- Wake On Magic Packet
- 電源オフ状態からのWake On Magic Packet
もしも、プロパティからWake On Lanの設定項目が存在しない場合は、残念ながらデバイスがそもそもWOLには対応していないという事になります。なんてこった!と思った方は、今こそBTOをフル活用して自分好みのPCを検討しましょう。
電源オプションをWOLに対応させる
Windows10に搭載される「高速スタートアップ」という、次回起動時に高速にパソコンが利用できる機能がオンになっていると、シャットダウンが、ハイブリッドシャットダウンになってしまいます。このハイブリットシャットダウンになると、なんとOSレベルでWake On Lanを無効にするというありがた迷惑な仕様となっています。
ハードウェアWOLを利用する為には、シャットダウン時に完全にS5ステートに移行させる必要があるので、電源オプションの設定をしておきましょう。
を選択して、「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリックし、「高速スタートアップを有効にする」という項目からチェックを外します。
ただ、高速スタートアップを切ってWOLの設定をしてWOLが成功した後に、高速スタートアップにチェックを入れてみた所、無事にWOLからの起動ができました。おそらく初期設定時になんらかの弊害が出るのではないかと思います。はい。
BIOS/UEFI設定からWake On Lanの設定を見直す
BIOSの設定項目で重要なのは2点です。1つは「電源管理を許可する設定」です。もう1つは「省エネモードをオフにしてLANの通電を切らない設定」です。製品によって様々ですが、多くの場合は以下の項目からWOLを有効化できます。
電源管理を許可する設定
- Advanced > APM > Power On By PCI > [Enabled(有効)]
- Advanced > APM > Power On By PCIE > [Enabled]
- Advanced > APM > Power On By PCIE/PCI > [Enabled]
- Advanced > APM > Power on By PME > [Enabled]
- Advanced > APM > PCIEによる電源ON > [Enabled]
省エネモードをオフにしてLANの通電を切らない設定
- Advanced > APM > ErpReady > [Disabled(無効)]
- Advanced > South Bridge Configuration > Deep Sleep > [Disabled]
- Boot > Fast Boot > [Disabled]
製品によって項目が多少違いますが、上記にあるような概念の部分が存在するか確認してみて下さい。
ここまでセッティングが完了したら、WOLにマジックパケットを送信できる高機能ルーターや、スマホアプリなどで起動してみましょう!
私はASUSとSynologyのルーターに最初から搭載されたWake On Lanのパケット送信機能を利用していますが、快適そのものです。個人向けルーターとは思えないSynologyの多機能を是非味わってください。
WOLに必須となる3つの確認事項まとめ
Wake On Lan(WOL)を利用するには、これまで説明した3つの条件が揃う必要があります。それが、デバイスの設定、電源オプションの設定、BIOSの設定です。
そして、Windowsの大型アップデートをした場合は、毎回必ずWOLがうまく起動するか確認することをおすすめします。なぜなら、アップデートに紛れて設定項目が初期化されてしまうという現象も確認しています。
明らかにバグのようなアップデートですが、初期設定に戻さないとどうしてもアップデートできないこともあるかもしれないので、仕方なく割り切りましょう。
今日も知識欲は止まらない。